犬の歯周病に抗生剤は必要?|抗生剤の効果や副作用について獣医師が詳しく解説

「愛犬の歯周病は抗生剤で治るのかな」
「歯科処置で歯がきれいになったのに、抗生剤は必要なの?」
「抗生剤を飲む上で気をつけることは何だろう」
このように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
犬の歯周病は歯科処置が基本ですが、抗生剤を処方されることもあります。

今回は、犬の歯周病における抗生剤の効果や副作用について詳しくご紹介します。
犬の歯周病でお困りの方は、ぜひ最後までお読みいただき、歯周病に対する抗生剤の役割について知識を深めていただけると幸いです。

犬の歯周病とは

犬の歯周病とは、

  • 歯のセメント質
  • 歯肉
  • 歯根膜
  • 歯槽骨

といった歯周組織に起きる、細菌感染性の病気のことです。
歯垢(プラーク)の中で細菌が繁殖することで、歯周組織に炎症を起こします。
歯垢を放置してしまうと、石灰化して歯石になります。
歯石の表面には小さな凹凸があり、歯垢が付着しやすいため、歯周病の悪化を促進してしまいます。

犬の歯周病の症状

歯周病になると、

  • 歯がグラグラする
  • よだれが増える
  • 口を痛がる

といった症状が見られます。
歯周病を放置してしまうと、

  • 顎の骨が折れる
  • 歯の根本から膿が出る
  • 膿が鼻まで到達し、鼻炎になる

といった危険もあり、注意が必要です。

犬の歯周病の治療

犬の歯周病の治療は、歯科処置を行います。
歯科処置は全身麻酔下で行い、歯科用器具を使って歯垢や歯石を取り除く治療です。
重度の場合には、抜けそうになっている歯を抜歯することもあります。

犬の歯周病における抗生剤の効果とは?

寝ているシーズーの顔

犬の歯周病において抗生剤を使用しても、残念ながら根治することはできません。
抗生剤で細菌を抑えたとしても、歯周病の根本的な原因である歯垢や歯石はなくならないからです。
歯垢や歯石がある限り、細菌は繁殖をくり返してしまいます。

歯周病の犬では、

  • 今ある歯垢や歯石を取り除くこと
  • 新しい歯垢や歯石を作らないこと

という2つが重要です。

上記のためには、歯周病の正しい治療である歯科処置を受け、日常的なご家庭でのケアもしっかりと継続していきましょう。
ご家庭でのケアには、犬用歯ブラシや歯磨き用ウェットティッシュなど、愛犬にあったものを活用するのがおすすめです。

抗生剤は副作用もある?

犬の歯周病における抗生剤の副作用には、

  • 耐性菌ができる
  • 腸内細菌の死滅を招く

といったものがあります。
それぞれについて詳しく解説します。

耐性菌ができる

耐性菌とは、抗生剤に対し抵抗力を獲得した細菌のことです。
抗生剤を長期にわたり使い続けたり、短期間のうちに飲んだりやめたりをくり返したりすると、耐性菌ができる可能性があります。
耐性菌には抗生剤が効かないため、耐性菌ができると、

  • 感染症の治療が困難になる
  • 他の病気の治療においても薬の選択肢が狭まる

といった危険があります。

腸内細菌の死滅を招く

抗生剤は病原菌の増殖を抑えたり、死滅させたりすることが目的ですが、腸内細菌にも影響してしまう可能性があります。
腸内細菌には、腸環境を整える善玉菌など体に良い細菌も存在するものです。
抗生剤が腸内細菌を死滅させてしまうと、腸内のバランスが崩れてしまいます。
腹痛や下痢といった消化器症状を引き起こすため、注意が必要です。

犬の歯周病で抗生剤が必要になる状況とは?

犬の歯周病において漫然と抗生剤を使用することはおすすめできません。
しかし、抗生剤が必要になる状況として、

  • 歯科処置後
  • 歯科処置が難しい場合

の2つがあります。

歯科処置後

歯科処置を行うと、出血したり歯茎を傷つけてしまったりすることがあります。
抜歯をした場合には歯茎に空洞もできます。
出血部位や歯茎の傷・空洞は血管と繋がっており、細菌が感染しやすい状態です。
細菌が口内の血管から全身へ広がってしまうと、敗血症になり、命に関わる危険があります。
歯科処置後の敗血症を防ぐためには、抗生剤の使用が有効な場合も多いです。

歯科処置が難しい場合

歯科処置を受けるためには全身麻酔が必要です。
しかし、持病のある犬や高齢犬では全身麻酔が大きな負担となるため、歯科処置が難しいこともあります。
歯科処置ができない場合でも、なんとか今の痛みを緩和してあげたいという目的で、抗生剤を一時的に使用することがあります。

まとめ

おもちゃを見ている茶色チワワ

いかがでしたか?

犬の歯周病において、漫然的に抗生剤を使うことはおすすめできません。
ただし、歯科処置後や歯科処置が難しい場合など、一時的に抗生剤を使用することはあります。
自己判断での投薬は副作用の問題もあるため、獣医師とよく相談しながら使用しましょう。

当院では犬の歯科治療を得意としております。
犬の歯周病についても、さまざまな治療方法をご提案することが可能です。
愛犬の歯周病についてお困りの方や、抗生剤の使い方についてお悩みの方は、お気軽に当院までご連絡ください。

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