犬に歯科検診は必要？検診の頻度や費用を獣医師が解説
みささぎ動物病院
犬の口腔内には、思っている以上にトラブルが多く潜んでいます。
実際、3歳以上の犬の約8割が歯のトラブルを抱えています。
「最近、愛犬の口臭が気になる」
「なんだか口が痛そうにしている」
もしかしたらそれは、歯のトラブルのサインかもしれません。
犬は痛みや違和感を我慢してしまうため、気づいたときにはすでに病気が進行しているケースも少なくありません。
この記事では、歯科検診でわかる病気や費用、受けるべき頻度などをわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、定期的な歯科検診の重要性について理解を深めていきましょう。
歯科検診でわかる病気や異常
歯科検診では、見た目では分からない歯のトラブルを早期に発見することができます。
よく見つかる代表的な病気には以下のようなものがあります。
- 歯周病
- 歯肉炎
- 歯の破折
- 乳歯遺残
- 腫瘍
- 吸収病巣
- 歯原性嚢胞
これらの病気は、口の痛みや炎症を起こすだけではありません。
歯周病であれば、細菌が血液を通じて全身の臓器に悪影響を及ぼすことがあります。
腫瘍であれば、口腔内にできるものは悪性が多いと言われています。
つまり、歯科検診は「お口の健康」だけでなく「全身の健康」を守るためにも欠かせない検診ということですね。
年齢に応じた検診の目安
犬のライフステージごとに、歯科検診の頻度やポイントは異なります。
では、どれくらいの頻度で歯科検診を行うとよいのでしょうか？
それぞれのライフステージごとに解説します。
子犬
子犬は成長とともに、歯が乳歯から永久歯へと生え変わります。
この時期は乳歯遺残が起こりやすく、中には乳歯が正常に抜け落ちないまま永久歯が生えてしまうことも。
乳歯遺残を放置すると、歯並びの乱れや歯周病のリスクが高まります。
生後6か月頃までには一度歯科検診を受け、乳歯の抜け具合や噛み合わせをチェックしてもらいましょう。
成犬（1～7歳）
成犬での歯のトラブルは、症状がなくても進行している場合があります。
正しくデンタルケアができているかどうかも同時に判断してもらいましょう。
目安として、半年から1年に1回、理想は3ヶ月から半年に1回、歯科検診を受けることがおすすめです。
特に「口が臭う」「フードが食べづらそう」「おもちゃを噛まなくなった」などの症状が見られた場合は、検診を待たずに早めの受診が必要です。
シニア犬（7歳以上）
シニア犬になると、口腔内の腫瘍や歯のぐらつきなどのトラブルが増加します。
そのため、半年以内に1回の歯科検診が理想的です。
持病や麻酔への不安がある犬でも、まずは検診で状態を把握し、負担の少ない治療方針を立ててもらいましょう。
歯科検診の内容
動物病院で行う歯科検診は、口の中を目で見るだけでなく、歯の根元や歯肉の状態まで細かくチェックします。
検診の内容は病院によって異なりますが、一般的には次のような流れです。
- おうちでの様子やデンタルケアのヒアリング
- 歯垢・歯石の付着状況、歯肉炎のチェック
- 噛み合わせや歯の欠損のチェック
- 全身の健康チェック
- 歯周ポケットの測定
- 歯科用レントゲンによる歯根や骨のチェック
器具を用いた歯周ポケットの測定や歯科用レントゲンの撮影は、麻酔を行って処置をすることがあります。
歯科検診は、歯科用レントゲンを備えている専門の動物病院で受けましょう。
歯科検診の費用の目安
歯科検診の費用は動物病院によって異なりますが、一般的には3,000〜8,000円前後が目安です。
ただし、レントゲン撮影や歯石除去、全身麻酔を伴う処置を行う場合は別途追加で費用がかかります。
費用の目安の金額は以下になります。
- 歯科用レントゲン検査：5,000～10,000円前後
- 全身麻酔：10,000～20,000万円前後
- 歯石除去：10,000～30,000万円前後
- 処置料：30,000～50,000万円前後
- 抜歯料：1,000～10,000万円前後
- 歯の破折（保存修復）：60,000～80,000万円前後
- 歯の破折（抜髄根管治療）：100,000～150,,000万円前後
病気が早期に発見できた場合は、処置も軽度で費用も抑えられるでしょう。
そのためにも、定期的な歯科検診は欠かせませんね。
歯科専門の動物病院を選ぶメリット
歯科検診はかかりつけの動物病院でも行うことができますが、歯科専門の動物病院で行うメリットがあります。
精密な検査が可能
歯科用レントゲンを使用し、歯の根や顎の骨などを精密に確認できます。
抜歯の必要があるかどうかなどをより正確に判断することが可能です。
早期発見・早期治療が可能
初期の異常や隠れた疾患を見つけやすく、症状が進行する前に処置が受けられます。
歯のトラブルに対する専門的な処置が可能
難しい抜歯や歯の修復などは、専門的な機材がないと処置できないケースが多いです。
デンタルケアのアドバイスが可能
1頭1頭の犬に合った歯磨き指導やデンタルグッズの選び方などを適切にアドバイスしてもらえます。
まとめ
犬の歯科検診は、お口だけでなく全身の健康を守るために欠かせません。
当院では歯科診療に力を入れております。
「まだ若いから大丈夫」と思わず、いつでもご相談ください。
定期的な検診とデンタルケアを組み合わせることで、歯のトラブルを未然に防ぐことができます。
歯の健康を守ることは、愛犬と長く元気に過ごすための第一歩です。
京都府山科区左京区の動物病院
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