猫の歯肉炎の原因「カリシウイルス」とは?診断や症状・治療を獣医師が解説

歯肉炎とは、歯を支える歯ぐき(歯肉)に炎症が起きている状態で、若い猫から高齢の猫まで幅広い年齢で発症がみられます。
歯肉炎は進行すると口内に強い痛みが生じ、食欲が低下してしまう病気です。
「最近、愛猫が口を痛そうにして食べづらそう…」
「なんだかよだれが増えてきた気がする」
もしかしたらそれは、歯肉炎の症状かもしれません。
猫の歯肉炎の背景には、「カリシウイルス」というウイルス感染が関与していることがあります。
本記事では、猫のカリシウイルスと歯肉炎の関係、特徴的な症状や診断方法、治療について獣医師がわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、歯肉炎の症状に当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
猫カリシウイルスとは?
猫カリシウイルスは、直径約27〜35nmと非常に小さいウイルスで、感染ルートは主に、くしゃみ・鼻水・唾液などの飛沫です。
感染力が強く、特に子猫や免疫力が低下した猫では発症しやすい傾向があります。
一度感染すると体内にウイルスが残り、持続感染として再び症状を起こすこともある、やっかいなウイルスですね。
多くの猫では、初期にくしゃみや鼻水など風邪に似た症状が現れますが、進行すると口腔内に潰瘍をつくり、歯肉炎を悪化させることがあります。
猫カリシウイルス感染症の主な症状

猫カリシウイルスに関連した症状として、以下のようなものが挙げられます。
- くしゃみ・鼻水
- 目の充血・目ヤニ
- 歯肉の赤みや腫れ、出血
- 口臭・よだれ
- 食欲低下
特にひどい口臭や食欲低下、食べこぼし、口を気にするしぐさがある場合は、歯肉炎が進行している可能性があります。
様子を見ずに早めに動物病院を受診しましょう。
猫カリシウイルス感染症の診断方法
動物病院ではまず、獣医師が口腔内を丁寧に観察します。
歯肉の炎症の程度や潰瘍の有無、鼻汁や結膜炎などの歯肉炎以外の症状がないか、という点をみてもらう必要があります。
状況に応じて、口腔内のぬぐい液を採取し、PCR検査でカリシウイルスに感染しているかを調べてもらいましょう。
ただし、猫の歯肉炎は歯周病や他のウイルス(例:猫免疫不全ウイルス)でも起こるため、複数の要因が関与しているケースも少なくありません。
そのため、血液検査やレントゲン検査などを組み合わせて総合的に診断が行われます。
猫カリシウイルス感染症の治療
残念ながら、ウイルスそのものを完全に排除する治療法はありません。
免疫力を高め、二次感染を抑え症状を和らげる対症療法が治療の中心となります。
内科的な治療には以下が用いられます。
- インターフェロン製剤:免疫の働きをサポート
- 消炎剤や鎮痛剤:歯肉の炎症や痛みを緩和
- 抗菌薬:細菌の二次感染を防ぐ
もし合併して結膜炎などの症状がある場合は、点眼による治療も行われます。
内科治療に反応しない、または重度の歯肉炎がある場合は、外科的な処置が行われることもあります。
- 歯石除去(スケーリング)
- 全臼歯抜歯
- 必要に応じて全顎抜歯
また、歯肉炎の治療では食事管理も重要です。
硬いフードを嫌がる場合は、ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードを与えたり工夫してあげると良いでしょう。
カリシウイルス以外で起こる猫の歯肉炎の原因

猫の歯肉炎は、必ずしもカリシウイルスだけが原因ではありません。
実際には、いくつかの要因が複雑に関わり合って発症・悪化することがあります。
カリシウイルスの他、猫の歯肉炎の原因には、
- 歯周病
- 他のウイルス感染症
- 口腔内の異常や外傷
などが挙げられます。
それそれ詳しく見ていきましょう。
歯周病
歯周病は、歯垢や歯石の蓄積によって起こる病気で、細菌が歯肉を刺激して炎症を起こす病気です。
進行すると歯周組織が破壊され、痛みや出血が生じます。
中高齢の猫で特に多く見られ、カリシウイルスに感染していなくても発症します。
他のウイルス感染症
猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)に感染すると、免疫力が低下し、歯肉炎を発症しやすくなります。
口腔内の異常や外傷
歯並びの異常(不正咬合)や破折した歯、外傷なども歯肉炎のきっかけになります。
異物が挟まっていたり、できものができていたりするケースもあります。
まとめ
猫の歯肉炎には、さまざまな原因があります。
中でも、カリシウイルスが関与することで悪化することがあります。
食欲の低下やよだれ、口臭、痛みなどが見られたら、いつでもご相談ください。
さらに、混合ワクチンの定期的な接種はカリシウイルス感染のリスクを下げるために重要です。
治療はもちろんですが、予防することも大切です。
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