犬の口腔内扁平上皮癌とは?症状・治療法を獣医師が徹底解説
「口の中にできものがある」
「ご飯を食べにくそう」
「よだれが増えた」
こんな様子が見られるとき、考えられる病気のひとつが口腔内扁平上皮癌(こうくうないへんぺいじょうひがん)です。
犬の口の中にできる悪性腫瘍の中でも比較的多く、早期発見と早期治療がとても大切になります。
今回は、犬の口腔内扁平上皮癌の症状や治療の流れについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の口腔の健康管理にお役立てください。

犬の口腔内扁平上皮癌とは
犬の口腔内扁平上皮癌は、口の中にできる悪性腫瘍(がん)の一種です。
主に次のような場所に発生します。
- 歯茎
- 舌
- 頬の内側
口腔内扁平上皮癌は悪性度が高く、周囲の骨を溶かしながら広がるのが特徴です。
進行すると出血や痛みを伴い、食事が難しくなることもあります。
主な症状と見つけ方
犬の口腔内扁平上皮癌は、初期には無症状のこともあります。
進行すると次のような変化が見られることが多いです。
- 片側の顔や歯茎、舌が腫れる
- 口の中から出血が続く
- ご飯の食べ方が変化する(片側だけで噛むなど)
- 口臭が強くなる
- よだれが増える
歯周病に似た症状も多く、「どうせ歯周病だろう。もう年だし」と放置されがちです。
初期の段階では見た目の変化も少ないため、ご家族が気づけないことも珍しくありません。
定期的に口の中を獣医師に診てもらうことが大切です。
治療法
犬の口腔内扁平上皮癌で最も優先される治療は、外科手術による腫瘍の切除です。
外科手術では腫瘍とその周囲の顎の骨を含めて切除することで根治を目指します。
外科手術で根治に至らなかった場合でも、痛みや不快感を減らしてあげられるケースはたくさんあります。
一方で、術後に顔の形が変わってしまうことや、数日〜1週間ほど食事がとりにくくなるケースも見られます。
その間は、食道チューブ(食道瘻)を使ってごはんを与え、体力の低下を防ぎながら回復を支えることが必要です。
獣医師から顎を切るなんて言われると怖く感じるかもしれません。
しかし、実際には多くの犬は数日で口から少しずつ食べられるようになります。
1週間ほどで普段の生活に戻り、1ヶ月もすれば介助なしでごはんを食べたり、おもちゃで遊ぶ姿も見られることが多いです。
犬の口腔内扁平上皮癌に対しては、放射線治療も行われています。
放射線治療は、手術で取り切れなかった部分の再発を抑える場合や、手術が難しい場合に選択される方法です。
早期に手術できれば2〜3年以上元気に過ごせる子も多く、放射線治療単独でも1年前後の延命が期待できます。

放置するとどうなる?
進行した口腔内扁平上皮癌は強い痛みを伴うものです。
腫瘍が大きくなることで食事ができなくなり、体力が急速に落ちてしまいます。
放置すればするほど犬も弱っていき、手術の難易度も高くなるので、早めの診断・治療がとても重要です。
決して放置することなく獣医師に診せて相談しましょう。
ご家族ができるサポートと考えておきたいこと
- 無理なく食べられる柔らかい食事や給餌方法を準備しておく
- 食べられなくなったときの選択肢(胃瘻・看取り・安楽死など)を早めに家族で話し合う
- 安楽死も含めた最期の迎え方を事前に相談しておく
こうした話題はとてもつらいものです。
しかし、いざ口腔内扁平上皮癌の末期になってしまってから考えるのと、前もって準備しておくのとでは、その後の生活の質も後悔の有無も大きく変わると思います。
口腔内扁平上皮癌と付き合いつつ「うちの子」とのかけがえない時間をどうやって過ごすか、どのようなエンディングを迎えさせてあげたいか、こういったことを考えるのは治療と同じくらい大切です。
早め早めにご家族でよく話し合うことをおすすめします。

まとめ
犬の口腔内扁平上皮癌は、早期発見と早期治療が重要な病気です。
歯周病と似た症状だと思っても軽視せず早めに受診しましょう。
当院では犬の口腔内扁平上皮癌を含めた歯科口腔疾患に力を入れています。
犬の食べ方やお口のことで何か気になったら、気軽に当院へご相談ください。
京都府山科区左京区の動物病院
みささぎ動物病院


